落ち込んでいる女性

毎日が辛い、理由もなく涙が出る、夜眠れない、不安で胸がいっぱいになる。そんなふうに、一人で心のSOSを抱え込んでいませんか?

「心がしんどいから心療内科に行ってみようかな」と思っても、いざ受診となると「お薬ばかりたくさん出されるのではないか」「自分の悩みをうまく言葉にできないかもしれない」「そもそも、ただ話を聞いてもらうだけで本当に心は元気になるのだろうか」と、さまざまな不安が頭をよぎるかもしれません。

これまで一人で耐えてきたあなたにとって、自分の内面を見知らぬ誰かに打ち明けることは、とても勇気のいることですよね。

実は、心療内科や精神科で行われるカウンセリング(心理療法)は、単なる「おしゃべり」や「愚痴聞き」ではありません。最新の医学研究でも、お薬による治療と並ぶ確かな効果が示されており、長い目で見ればより再発を防ぐ力をもつことが分かっています。

この記事では、心身の不調に悩む方へ向けて、カウンセリングがどのように心に作用するのか、その仕組みや効果、そして今日からできるセルフケアについて、できる限りわかりやすく、そして温かい言葉でお伝えしていきます。

薬だけでなく「話すこと」が心に効く理由

うつ病や不安症といった心の不調の治療は、決して一つの方法だけで成り立っているわけではありません。大きく分けると、お薬の力で脳の過労状態をやわらげる「薬物療法」、医師との診察のなかで行われる「精神療法」、そして心理の専門家との対話を通じて心のしこりをほぐしていく「心理療法(カウンセリング)」があります。これらは互いに対立するものではなく、お一人おひとりの状態に合わせて組み合わせていくものです。

「お薬を飲まないと治らないのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、世界的な研究において、対話による心理療法そのものが非常に高い治療効果を持つことが分かっています。

たとえば、うつ病に対するさまざまな治療法を比較した大規模な研究では、お薬による治療とカウンセリングを「併用」することが、どちらか片方だけを行うよりも、症状を大きく改善させるという結果が出ています。お薬でつらい症状の波を穏やかにしつつ、カウンセリングで「落ち込みやすい考え方のクセ」や「ストレスへの対処法」を身につけていく。この両輪が揃うことで、再発を防ぎながら、あなたらしい生活を取り戻す大きな力となるのです。

また、長年にわたって集められたデータからも、さまざまな種類のカウンセリングがうつ病に対して有効であり、特に長期的な視点で見ると、お薬単独の治療よりも再発しにくい状態を作れることが示されています。心療内科の現場で行われるカウンセリングは、「ただ聞くだけ」ではなく、心の回復力を根本から育て直すための時間なのです。

どんなお悩みにカウンセリングは向いているの?

カウンセリングは、うつ病だけでなく、日々の強い不安やパニック、人間関係の悩みなど、幅広い問題に対して効果を発揮します。

突然動悸がして息苦しくなるパニック症、人前で極度に緊張してしまう社交不安症、特定の考えが頭から離れなくなる強迫症など、日常の安心を奪ってしまうような症状に対しても、対話を通じた心理的なアプローチが大きな改善の助けとなることが、数多くの研究で実証されています。

カウンセリングは、「考え方を変えましょう」と無理やりポジティブにさせるようなものではありません。不安を感じているとき、私たちの頭の中では「きっと悪いことが起きるに違いない」という考えが自動的に浮かんでしまっています。カウンセリングでは、心理士という心の専門家と一緒に、「その不安は本当に起きるのかな?」「別の見方はできないかな?」と、絡まってしまった思考の糸を、ひとつずつ丁寧にほどいていく作業を行います。

あなたがもし、以下のようなお悩みを抱えていたら、カウンセリングが状況を良い方向へ変えるきっかけになるかもしれません。

  • 仕事や学校に行くことを考えると、涙が出たりお腹が痛くなったりする
  • 過去のつらい出来事が突然フラッシュバックして苦しい
  • 「自分なんて価値がない」「消えてしまいたい」と強く感じる
  • 原因のわからない不安で夜も眠れず、毎日が息苦しい
  • 身近な人との人間関係がいつもうまくいかず、ひどく疲れてしまう

「先生と合わないかも…」と不安な方へ

カウンセリングを受けてみたいと思っても、「担当の先生と合わなかったらどうしよう」「うまく話せない自分はダメだと思われるのではないか」と心配になる方もいらっしゃいますよね。そのお気持ちは、とても自然なものです。

実は、心理療法において最も大切なのは「どの手法を使うか」よりも、「あなたとカウンセラー(心理士)との間に、信頼できる関係性が築けるかどうか」だと言われています。

世界各国で3万人を超える患者様を対象に行われた研究でも、「治療同盟」と呼ばれる「患者様とセラピストの協力関係」が、治療の成功に深く結びついていることが示されています。「この人になら、自分の弱いところを見せても大丈夫かもしれない」「自分のペースに合わせて、一緒に考えてくれる存在だ」と感じられる関係性こそが、心を癒やす大きな力になるのです。

だからこそ、最初から上手にお話しできなくても全く問題ありません。沈黙が続いてしまっても、涙があふれて言葉にならなくても、カウンセラーはそのままのあなたを受け止めます。「今日はうまく話せませんでした」というその一言から、関係性は少しずつ育っていくものです。安心して、あなたのペースでお話しできる環境を探してみてください。

今日からできる心のセルフケア

心療内科を受診する前や、カウンセリングと並行して、あなた自身で今日から始められる心のセルフケアをいくつかご紹介します。無理のない範囲で、心がホッとすることを見つけていきましょう。

① 今の気持ちを「紙に書き出して」みる

頭の中だけで悩んでいると、不安はどんどん大きく膨らんでしまいます。ノートの切れ端やスマートフォンのメモ機能に、「今、何が不安なのか」「どんな感情が湧いているか」をそのまま書き出してみてください。誰にも見せない言葉で構いません。書き出すことで、心の中から感情が外に吐き出され、少しだけ客観的に自分を見つめ直すことができます。

②「〜すべき」を「〜できたらいいな」に変える

心が疲れているときは、「もっと頑張るべき」「完璧にこなすべき」と自分を追い込んでしまいがちです。頭の中で「すべき」という言葉が浮かんだら、意識的に「できたらいいな」「今日はこれくらいで十分」と、自分への言葉がけを優しく変換してみてください。自分に厳しくしすぎる回路を、少しずつ緩めていく練習です。

③「ため息」の延長で、深い呼吸を取り入れる

不安が強いとき、私たちの呼吸はとても浅くなっています。苦しいときは、まずは「ふぅーっ」と長くため息をつくように、息を全て吐き切ってみてください。全部吐き切れば、自然と新鮮な空気が肺に入ってきます。これを3回ほど繰り返すだけでも、自律神経の緊張が少し和らぎます。

当院でのサポート

三宮駅前こころのクリニックでは、患者様一人ひとりの苦しみに寄り添い、共に解決の糸口を探すことを最も大切にしています。当院には、心の治療に精通した精神保健指定医をはじめとする医師の診察に加え、心理の専門家である公認心理師や臨床心理士による丁寧なカウンセリング体制が整っています。

医師の診察でお薬を使った方が良いと判断された場合は、最小限の負担で効果が出るようにお薬を調整し、同時に心理士とのカウンセリングで心の根本的な回復を目指す「併用療法」を行うことが可能です。もちろん「お薬には抵抗があるから、まずはカウンセリングだけ試してみたい」というご相談にも、真摯に耳を傾けます。

「こんな些細なことで行っていいのかな」と悩む必要はありません。あなたが「しんどい」と感じているその事実こそが、受診の立派なサインです。

  • アクセス抜群:JR三ノ宮駅から徒歩4分、各線三宮駅からもすぐの立地です。
  • 全日診療:土曜、日曜、祝日を含め、毎日診療を行っています。平日お休みが取れない方でも無理なく通院いただけます。
  • 24時間WEB予約対応:お電話が苦手な方や、夜中にふと不安になったときでも、スマートフォンからいつでも簡単にご予約いただけます。

一人で悩まず、まずはご相談ください

当院は完全予約制です。24時間受付のWEB予約をご利用ください。


【監修・文責】
宇治田 直也(三宮駅前こころのクリニック 院長 / 精神保健指定医)
近藤 大貴(三宮駅前こころのクリニック 副院長 / 精神保健指定医)

【出典】

  • Cuijpers P, Noma H, Karyotaki E, et al. (2020) "A network meta-analysis of the effects of psychotherapies, pharmacotherapies and their combination in the treatment of adult depression." World Psychiatry, 19(1):92-107. doi:10.1002/wps.20701
  • Cuijpers P, et al. (2021) "Psychotherapies for depression: a network meta-analysis covering efficacy, acceptability and long-term outcomes of all main treatment types." World Psychiatry. doi:10.1002/wps.20860
  • Cuijpers P, et al. (2023) "Psychological treatment of depression: A systematic overview of a 'Meta-Analytic Research Domain'." Journal of Affective Disorders. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165032723006389
  • Carpenter JK, Hofmann SG, et al. (2018) "Cognitive behavioral therapy for anxiety and related disorders: A meta-analysis of randomized placebo-controlled trials." Depression and Anxiety, 35(6):502-514. doi:10.1002/da.22728
  • Flückiger C, Del Re AC, Wampold BE, Horvath AO. (2018) "The alliance in adult psychotherapy: A meta-analytic synthesis." Psychotherapy, 55:316-340. doi:10.1037/pst0000172
  • 厚生労働省 こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)