ナイトテーブルに伏せて置かれたスマートフォンと小さな目覚まし時計、双葉の水彩イラスト

布団に入っても眠れず、気がつくと手の中のスマホを見ている夜が続くと、眠れないのはスマホのせいかと考えたくなります。

2024年に、スマホやSNS、オンラインゲームの使い方と睡眠の質の関係を、約4万2千人分のデータで調べ直した研究が出ました。この研究では、使う時間が長い人ほど、やめたいのにやめられない使い方の人ほど、眠りの問題を多く抱えていました。関係の強さは弱めから中くらいで、寝る前の使用だけを調べた研究でもないため、スマホが原因だと決められる研究ではありません。海外の研究を集めたもので、日本で行われた研究は含まれていません。

不眠症の症状や治療の全体像は、当院の「睡眠障害(不眠症)」のページにまとめてあります。以下は、スマホと眠りの関係にしぼった話です。

どんな研究か(約4万2千人・20か国以上・日本は含まれない)

スマホ・SNS・オンラインゲームなどの使い方と、眠りの質との関係を調べた研究です。行ったのは、中国・北京にある中国人民大学で新聞やメディアを研究している3人のチームです。2024年に、医療とインターネットをテーマにした専門誌(Journal of Medical Internet Research)に掲載されました。

やり方は、すでに発表された研究を集めてまとめて計算し直す「メタ解析」という方法です。2018年から2023年に英語で発表された55本の研究、合わせて41,716人分のデータが集められました。国は中国・インド・インドネシア・米国・英国・ドイツ・トルコなど20か国以上にわたり、日本で行われた研究は入っていません。

スマホなどの「使い方」は、二つに分けて調べられています。一つはふだんどれくらい使っているかで、おもに使った時間の長さで測ります。もう一つは、やめたいのにやめられない使い方です。自分で調整しにくい、生活に支障が出ている、といった度合いを質問票で点数にしたもので、研究では「問題のある使用」と呼ばれています。あくまで研究上の呼び方で、この点数だけで病気と診断するわけではありません。

眠りの質は、多くの研究で本人が答える質問票(ピッツバーグ睡眠質問票、PSQI)で測られていました。寝つくまでの時間や眠れた時間、途中で目が覚めるかどうかなどを自分で答えるものです。

ここで一つ注意があります。この研究は、寝る前の使用だけを取り出して調べたものではありません。使った時間の長さを調べた研究が中心で、寝る前の使い方を調べた研究も一部含まれる、という形です。「布団の中でスマホを見ること」の影響を直接測った結果ではないことは、頭に置いて読んでください。

結果:スマホを使う時間が長い人ほど、やめられない人ほど、眠りの問題が多い

まず、ふだんの使用量です。使う時間が長い人ほど、眠りの問題が多い関係が見られました。関係の強さは、弱めから中くらいです。スマホの使い方だけで眠りの良し悪しが決まる、というほどの強さではありません。種類別では、スマホの使用時間が最も強く、次がSNSでした。オンラインゲームは、弱い関係にとどまりました。

次に、やめられない使い方です。こちらも、点数が高い人ほど眠りの問題が多い関係が見られました。強さは弱めから中くらいで、数字のうえでは、ふだんの使用量より少し強めです。種類別では順番が入れ替わります。インターネットとオンラインゲームが最も強く、SNSが続き、スマホは最も弱い結果でした。ただし、対象者も調べ方も違う研究どうしの比較なので、この順番をそのまま眠りへの悪影響の順位と受け取ることはできません。

スマホだけ見れば、使う時間では一番強く、やめられない度合いでは一番弱い。この食い違いを、著者たちは次のように解釈しています。やめられない使い方になると、スマホはゲームやSNSを使うための入れ物になる。だから眠りに関わるのは、スマホそのものより、スマホで何をしているかではないか。これは著者たちの考えで、研究で確かめられたわけではありません。

研究ごとの平均年齢や男女の割合で関係の強さが変わる、という結果は出ませんでした。平均年齢が10歳前後の子どもの研究から60代の研究まで含まれていますが、年齢や性別で差がないと確かめられたわけでもありません。地域による違いは一つだけありました。SNSのやめられない使い方と眠りの関係は、著者たちが東洋の文化圏と分けた国々で、西洋より強めでした。ただし、その東洋のデータに日本は含まれていないので、日本でも強いとは言えません。細かい数字は、記事の終わりに「くわしい数字」としてまとめました。

「スマホのせいで眠れない」とは言い切れない理由

この研究が集めたのは、使い方と眠りの状態を同じ人で調べて、その関係の強さを見た研究が中心です。この形の研究では、どちらが先かは分かりません。スマホを使うから眠れないのか、眠れないからスマホを見るのか。この結果だけでは判断できません。ストレスなど別の要因が、使い方と眠りの両方に関わっている可能性もあります。著者たちも、原因と結果の向きは決められないと書いています。

研究が示したことではありませんが、眠れない夜にスマホを見る、という向きは十分にありえます。目が冴えて、時間をつぶすものがほかにない。考え事が頭を回って、気をそらしたくなる。そういう夜に、手が届くところにあるのはたいていスマホです。眠れない夜にスマホを見てしまうことで、自分を責める必要はありません。

著者たちは、使い方が眠りに響く道筋を二つ想定しています。使う時間が長いと、寝つくまでの時間が延び、眠る時間が削られる。やめられない使い方は、不安やストレス、気持ちの揺れを通して眠りに響く。どちらも著者たちの考えで、この研究で確かめられたのは「関係がある」ことまでです。

この研究で分かっていないこと

寝る前の使用に限った結果ではないことは、01で書きました。原因と結果の向きが決められないことは、03のとおりです。それ以外にも、いくつか限界があります。

まず、2018年以降に英語で発表された研究だけが対象です。日本語の研究や、それより前の研究は入っていません。次に、研究ごとの結果のばらつきが大きい点です。対象の年齢も、使い方の測り方も、眠りの測り方も研究によって違います。著者たちも、調べていない要因が結果に影響している可能性を認めています。

眠りの測り方として最も多かったのは、本人が答える質問票です。本人の答えは、脳波などの機械で測った眠りといつも一致するとは限らない、と一般に言われています。これは著者たちの記述ではありません。質問票を使う研究に共通する注意点です。著者たちは、載った雑誌の格付けなどで研究を三段階に分けていて、低い評価になるものも含まれていました。ただし雑誌の格付けだけでは、一つ一つの研究の方法の良し悪しまでは分かりません。

統計の面でも注意があります。関係の強さを一つの物差しにそろえるため、別の形で報告された数字を変換した研究があります。著者たちは、この変換が誤差のもとになりうると書いています。解析の計画を前もって登録していない点も、著者たち自身が明記しています。方法は前もって決めて守ったと書かれていますが、登録がないと結果の見せ方を後から変えやすい、という弱点は残ります。

スマホと眠りの付き合い方:当院の考え方

三宮駅前こころのクリニックの考え方としては、基本の線を厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に置いています。ガイドには、寝室にはスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる、と書かれています。ここから先は研究で確かめられた内容そのものではなく、研究と国の指針をもとにした一つの提案として読んでください。

こども向けの部分では、寝る時刻の先延ばしを防ぐ工夫として、家庭で電子機器の使い方のルールを決めることが役立つ場合がある、と書かれています。

ただ、「寝室に持ち込まない」を今夜から守るのは、簡単ではありません。目覚ましも連絡もスマホに頼っていれば、手元から離すこと自体に抵抗があります。そこで、段階を分けて考えます。

第一歩は、布団の中で見ないことです。見るなら、布団に入る前に済ませます。それができたら、充電する場所を寝室の外に移します。目覚ましは、時計に任せます。

眠れないときにスマホの代わりに何をするかも、決めておくと楽です。眠れないときは、時計で厳密に測らなくてよいので、いったん布団を離れて静かに過ごし、眠くなったら戻る。これは不眠症の治療で使われている「刺激制御法」と同じ考え方で、睡眠障害(不眠症)にくわしく書いてあります。

完璧を求める必要はありません。毎晩できなくても、「布団の中では見ない」が週に何日かできれば、出発点としては十分です。

画面の光が眠りに影響する仕組みは、プレッシャーで眠れない夜が続いたらで説明しているので、ここでは繰り返しません。昼間に体を動かすことも、眠りの助けになりえます。運動の種類ごとに眠りの質を比べた研究は、眠れない夜のために昼間にできること|運動の種類と睡眠の質を比べた研究で紹介しています。

もう一つ、添えておきたいことがあります。やめたいのにやめられない感じが強いとき、その背景に気分の落ち込みや不安が隠れていることがあります。スマホの使い方だけの問題として片づけず、眠りと気持ちの両方を診察で相談してもらってかまいません。

眠れない日が続くときは(スマホをやめられなくても)

布団からスマホを遠ざけても、眠れない日が続くことがあります。そのときは、スマホの使い方にかかわらず、不眠そのものを診察で相談してよい段階です。眠れない日が続き、昼間の眠気やだるさ、集中しにくさで生活に支障が出ているなら、受診を考えてみてください。

受診の目安や、不眠症の治療の進め方は睡眠障害(不眠症)にまとめています。スマホを手放す努力をしたかどうかは、受診の条件ではありません。「眠れないのはスマホのせいだと思うけれど、やめられない」という段階の相談でかまいません。

よくあるご質問

寝る前にスマホを見ると、眠れなくなりますか。

この研究では、使う時間が長い人ほど眠りの問題が多い関係が見られました。ただし寝る前の使用に限って調べたものではなく、原因と結果の向きも決められません。寝る前に見るから眠れないとも、見ても平気だとも、この研究からは言えません。眠れない日が続いているなら、スマホを見ているかどうかにかかわらず相談してください。

スマホをやめれば、不眠は治りますか。

この研究は、スマホをやめた人の眠りがどう変わったかを調べたものではありません。関係があることと、やめれば良くなることは別の話です。使い方を見直すことは試す価値がありますが、それで眠れるようになると約束できる根拠は、この研究にはありません。スマホを遠ざけても眠れない日が続くなら、不眠そのものとして診察で相談してください。

夜間モードやブルーライトカットにすれば大丈夫ですか。

この研究では、画面の設定による違いは調べられていません。光と眠りの仕組みや夜間モードの考え方は、プレッシャーで眠れない夜が続いたらで説明しています。厚生労働省の睡眠ガイド2023では、寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まないことが勧められています。夜間モードのような画面の設定だけで足りるかどうかは、はっきり書かれていません。当院としても、設定の工夫は補助と考え、布団の中で見ないことから始めるのを勧めています。

眠れない夜にスマホを見てしまうのは、依存ですか。

この研究で「問題のある使用」と呼ばれているのは、質問票で度合いを点数にしたもので、病名ではありません。眠れない夜にスマホを見ること自体が、依存を意味するわけでもありません。使い方に自分で困っている、やめたいのにやめられなくてつらい、と感じるなら、その気持ちごと診察で相談してかまいません。困っていなければ、点数の話を気にしすぎる必要はありません。

テレビやゲーム、SNSも同じですか。

この研究が分けて調べたのは、スマホ・SNS・オンラインゲーム・インターネットの四つで、テレビは今回の研究の区分に入っていません。使う時間で見るとゲームの関係は弱めでしたが、やめられない度合いで見るとゲームとインターネットが最も強い結果でした。ただし、インターネットは研究が2本しかなく、確かな数字とは言えません。何を、どんな使い方でしているかによって、眠りとの関係は変わるようです。テレビについては、この研究からは何も言えません。

受診のご案内(眠れない日が続くとき)

三宮駅前こころのクリニック(神戸市中央区・JR三ノ宮駅から徒歩4分の精神科・心療内科)では、不眠症の診療を行っています。診察では、眠れない日がいつから続いているか、昼間にどんな支障が出ているかをうかがいます。生活のリズムや寝る前の過ごし方、飲んでいる薬についてもお聞きします。そのうえで、生活習慣の見直しと薬の両面から、治療の進め方を一緒に決めていきます。

土日祝も診療しているので、平日に休みを取りにくい方も受診しやすい体制です。※2027年1月より、日曜日の診療は第2・第4日曜のみとなります(第1・第3・第5日曜は休診)。WEB予約は24時間受け付けています。スマホのせいかもしれないと思っている段階のご相談でかまいません。やめられているかどうかは問いません。初めての方の受診の流れは初診の方へにまとめています。

くわしい数字(研究の結果)

本文で省いた数字をまとめます。関係の強さは「相関係数(r)」という物差しで示されています。一方の値が大きい人ほど、もう一方の値も大きい、という傾向の強さを表す数字で、0に近いほど傾向は弱く、1に近いほど強いことを示します。統計でよく使われる目安では0.1前後が弱い、0.3前後が中くらい、0.5前後が強い関係です。原因を表す数字でも、眠れなくなる人の割合を表す数字でもありません。かっこ内は、本当の値がありそうな範囲(統計でいう95%信頼区間)です。

ふだんの使用(おもに使った時間の長さ): 全体 r=0.28(0.21〜0.35・20研究・21,594人・平均年齢9.9〜44歳)

  • スマホ: 0.33(0.27〜0.40・10研究・5,011人)
  • SNS: 0.28(0.21〜0.34・6研究・1,746人)
  • オンラインゲーム: 0.14(0.06〜0.22・4研究・14,837人)

やめられない使い方(依存の質問票): 全体 r=0.33(0.28〜0.38・35研究36データ・20,122人・平均年齢14.76〜65.62歳)

  • インターネット: 0.51(0.43〜0.59・2研究・774人)
  • オンラインゲーム: 0.49(0.23〜0.69・5研究・1,874人)
  • SNS: 0.35(0.29〜0.40・11研究・5,270人)
  • スマホ: 0.25(0.20〜0.30・18研究・12,204人)

地域差: SNSのやめられない使い方と眠りの関係は、東洋文化圏 0.40(0.33〜0.47・5研究)、西洋文化圏 0.28(0.21〜0.34・4研究)でした。ほかの組み合わせでは、東洋と西洋の差ははっきりしませんでした。研究ごとの結果のばらつきは、多くの解析で大きく、種類によって差がありました。インターネットは2研究だけ、オンラインゲームは範囲がとても広い結果で、どちらも数字の確かさは低めです。結果の出た研究だけが発表されやすい偏り(出版バイアス)の検定では、偏りの証拠は見られませんでした。

次に読む睡眠障害(不眠症) あわせて読むプレッシャーで眠れない夜が続いたら あわせて読む眠れない夜のために昼間にできること|運動の種類と睡眠の質を比べた研究 はじめての方へ初診の方へ|ご予約方法・受診までの流れ(WEB予約24時間受付)

参照・出典元

  • Han X, Zhou E, Liu D. Electronic Media Use and Sleep Quality: Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Medical Internet Research. 2024;26:e48356. doi:10.2196/48356
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38533835/(PMID: 38533835)
    ※本文で「この研究」として紹介しているのは、このメタ解析です。
  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
    ※厚生労働省「睡眠対策」のページです。ページ内にガイド本文のPDFが掲載されています。本文05で引いた「寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝る」は、ガイド「4.睡眠に関する参考情報」の中の「良質な睡眠のための環境づくりについて」の記述です。
  • Buysse DJ, Reynolds CF 3rd, Monk TH, Berman SR, Kupfer DJ. The Pittsburgh Sleep Quality Index: a new instrument for psychiatric practice and research. Psychiatry Research. 1989;28(2):193-213.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2748771/(PMID: 2748771)
    ※本文01の「ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)」の原著です。

本記事で紹介した数値は、海外(アジア・欧州・北米・中東・南米など)で行われた研究にもとづくものです。日本で行われた研究は含まれておらず、日本の状況とは異なる場合があります。

本記事で紹介した研究は、使い方と眠りの関係を調べたもので、スマホが不眠の原因であることや、使い方を変えれば眠れるようになることを示したものではありません。05節の付き合い方は当院の考え方であり、研究で確かめられた内容そのものではありません。記事の内容は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断や治療方針を示すものではありません。処方されている薬の変更や中止は、自己判断で行わず診察でご相談ください。

この記事の執筆・監修
近藤 大貴(三宮駅前こころのクリニック 副院長)

近藤 大貴執筆|三宮駅前こころのクリニック 副院長/精神保健指定医

藤田医科大学卒業。名古屋市立大学病院こころの医療センター、豊川市民病院、稲美しんわ病院(副院長)にて精神科診療に従事。適応障害・うつ病など、働く方のメンタルヘルス診療に力を入れている。

副院長プロフィールを見る →
宇治田 直也(三宮駅前こころのクリニック 院長)

宇治田 直也監修|三宮駅前こころのクリニック 院長/精神保健指定医・公認心理師・日本医師会認定産業医

札幌医科大学卒業。神戸大学病院での勤務を経て精神科へ転向し、明石こころのホスピタル、戸田病院(医局長・診療部長)にて診療に従事。

院長プロフィールを見る →

公開日 2026年11月3日/最終更新 2026年11月3日

スマホの使い方も含めて、
眠れない夜のことをご相談ください

CONTACT

スマホを手放す努力をしたかどうかは、受診の条件ではありません。「眠れないのはスマホのせいだと思うけれど、やめられない」という段階のご相談で構いません。土日祝も診療しています。

診療時間 9:30〜13:30 / 15:00〜19:00(土日祝も診療)
神戸三宮・JR三ノ宮駅より徒歩4分