明るい木目の机に置かれた封蝋つきの封筒と湯気の立つお茶のマグカップ、双葉の水彩イラスト

診断書を受け取って、会社にも渡した。ここまで来ると、肩の力が抜ける方もいれば、かえって落ち着かない方もいます。どちらにしても始まるのが、「で、このあと何が起こるのか」が分からない時間です。会社からいつ連絡が来るのか、お金はどうなるのか、通院は何のために続けるのか。休むかどうかはもう決めたのに、先の見通しが立たないままでは落ち着いて休めません。

診断書を会社に出したあとの休職の流れは、おおまかに五つの段階で進みます。まず会社が就業規則に照らして、休職の可否と期間を判断します(伝え方や速さは会社によって違います)。休職が始まったら、連絡窓口・給与の有無・社会保険料の支払い方・傷病手当金の申請方法を会社に確認します。休職中は定期的に通院し、医師が診察に基づいて傷病手当金支給申請書の医師記入欄や診断書を作成します。診断書の期限が近づいたら、再診で療養継続の必要性と復職の見通しを相談し、延長や復職の可否は会社が判断します。復職は、主治医の意見書、会社の判断(産業医がいる場合はその意見も含みます)、復職後の配慮の見直しの順に進みます。三宮駅前こころのクリニック(神戸市中央区・JR三ノ宮駅から徒歩4分)の診察で説明している順番を、起こる順に書き起こしました。

休職するかどうかをまだ迷っている段階の方は、休職・復職の進め方から読んでいただくほうが合います。以下は診断書を出したあとの段取りです。各段階の細かい中身は、それぞれの詳しいページへつないであります。

診断書を出した直後、会社側で起こること

診断書の提出先や社内での取扱いは会社によって異なりますが、上司から人事(総務や労務の担当部署)へ回る形が一つの例です。会社は就業規則の休職に関する定めと診断書を照らし合わせて、休職を認めるか、いつから、どのくらいの期間かを決めます。私傷病による休職は法律で一律に定められた制度ではないため、条件も手続きも会社ごとに違います。診断書を出した時点で休職が確定するわけではありません。決定までの時間や連絡方法は会社によって異なり、休職の扱いが分からない場合は、提出先にたずねてください。

休職発令や辞令、休職の通知書といった書面を出す会社もあれば、メールや面談で伝える会社もあります。休職に入る前に産業医との面談を挟む会社もあります。産業医は会社が選任する医師で、治療にあたる主治医とは役割が違います。職場の状況を踏まえて、療養や復職のために何が必要かを会社に意見する立場です。

会社と確認しておきたいのは、休職中の連絡窓口と連絡手段、給与や手当の有無、社会保険料や住民税の支払い方、貸与品(パソコン・携帯電話・社員証など)の返却、有給休暇の扱いなどです。これを一度に聞かれると、休みに入る前の消耗した頭にはこたえます。その場で答えるのが難しければ、書面での案内を頼み、回答の期限を相談してください。

休職が始まってすぐにすること(書類・申請書・連絡の形)

休職が始まった直後にしておくことは、三つに絞れます。

一つめは、手元に残す書類をそろえることです。診断書の控え(コピーか写真)、休職の通知や人事からの案内メール、就業規則の休職に関する箇所。診断書に書かれた療養期間の終わりの日付は、このあと何度も見返すことになります。原本を会社に渡して控えがない場合は、人事にコピーを依頼してください。当院で発行した診断書であれば、次の診察で記載内容を確認したいとお伝えください。

二つめは、傷病手当金支給申請書の入手です。会社の人事から渡される場合と、ご自身で加入先の健康保険のサイトから印刷する場合があります。協会けんぽに加入の方は公式サイトからダウンロードできます。用紙を早めに手元に置いておくと、医師記入欄の段取りを診察で相談できます。お金の流れは03で触れます。

三つめは、会社との連絡の形を相談して決めておくことです。窓口を一人に絞ること、頻度を決めておくこと。この二つの考え方と、連絡がつらいときの対処は適応障害の休職中の過ごし方|回復の3段階に書いてあります。必要な連絡を受け取れる窓口と手段を会社と決めたうえで、業務メールやチャットの通知を止められるかを相談しておくと、つい見にいかずに済みます。

「書類が多くて何から手をつければいいか分からない」と診察でおっしゃる方がいます。やることが多く見えたら、人事に「どれから進めればいいですか」と順番を聞いて構いません。書類の段取りは、人事のほうが慣れています。

休職中のお金が動く順番(給与・傷病手当金・社会保険料・通院費)

休職中に確認するお金は、次の四つです。

  • 会社からの給与: 支払いの有無は就業規則で決まります
  • 健康保険の傷病手当金: 業務外の病気やけがで働けず、給与が出ない、または減るときに、要件を満たすと受け取れる給付です
  • 社会保険料の本人負担分と住民税: 休職中も支払いが必要な場合があり、支払い方は会社に確認します
  • 通院費: 自立支援医療(精神通院医療)で自己負担が軽くなる場合があります

以下は、このお金がいつ動くかの順番です。金額の計算や細かい要件は傷病手当金|制度と仕組みと適応障害の傷病手当金|申請の流れと受診の時期にあります。

傷病手当金の対象は、協会けんぽや健康保険組合など勤め先の健康保険に、ご本人が被保険者として加入している方です。ご家族の扶養に入っている方や、市町村の国民健康保険に加入している方には、原則としてこの制度がありません。

療養のために仕事を休んだ連続3日間が待期となり、支給の対象は4日目以降の要件を満たす日です。給与が一部支払われる場合も、差額が支給されることがあります。申請は、申請対象の期間が終わってから、本人の記入、会社の証明、医師の記入をそろえて保険者(協会けんぽや健康保険組合)に提出します。期間の区切り方は、給与の締切日などを踏まえて会社や加入先の健康保険にたずねます。審査で支給が認められた場合に振り込まれるため、休み始めてすぐに受け取れるとは限りません。

私傷病による休職中も、健康保険・厚生年金の本人負担分は原則として必要です。給与から差し引けない場合の支払い方は、会社にたずねてください。住民税は前年の所得などに基づくため、休職して給与が減っても納付が必要な場合があります。給与から差し引けなくなった場合は、ご自身で自治体に納める方法に変わることもあります。

通院費を軽くする自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患で継続的な通院が必要と認められた場合の制度で、申請の窓口はお住まいの市区町村です。くわしくは自立支援医療をご覧ください。

休職中の通院と書類の関係(申請書の医師記入欄・診断書)

休職中の通院は、薬を受け取るためだけの時間ではありません。眠れているか、食べられているか、日中どのくらい動けるか、気分の波はどうか。これを確かめて治療の内容を調整し、あわせて、療養を続ける必要があるかどうかをそのつど医師が判断しています。

この判断が、書類とつながっています。傷病手当金支給申請書の医師記入欄には、療養の状況と、労務不能と認めた期間を書きます。医師記入欄は、診察やこれまでの治療経過に基づいて作成します。受診の間隔が空き、その間の状態を確認できない場合は、当院ではその期間を証明できないことがあります。三宮駅前こころのクリニックでは原則として、記載できる期間は初診日以降です。

診断書に書いた療養期間と、実際の回復の進み方は一致しないことがあります。診断書の期間は、診察時点での見通しです。早く回復することもあれば、期間が足りないこともあります。どちらであっても次の診察で状態を確かめてから書類を調整すればよいので、期間どおりに進まないことを気にしすぎないでください。

「だいぶよくなってきたので、しばらく通院しなくても大丈夫ですか」。そう聞かれる方もいます。治療の面では、よくなってきた時期こそ、再発を防ぐための調整をする時期です。書類の面でも、通院が途切れると延長の診断書や復職可の意見書を書くための経過が確かめられず、必要な書類が間に合わないおそれがあります。間隔を空けたいときは自己判断で止めず、診察でそう言ってください。間隔を広げる形での調整を一緒に考えます。

診断書の期限が近づいたときの延長と再診

ここでいう診断書の期限とは、診断書に書かれた療養期間の終わりの日のことです。その日が見えてくると、「期限が来るのが怖い」と話す方がいます。期限が近づいたら、再診で療養継続の必要性や復職の見通しを相談します。延長や復職の可否は、医師の意見を踏まえ、会社が就業規則などに基づいて判断します。会社の提出期限と次の受診日を確認し、間に合うように延長や復職について相談してください。

延長時に新しい診断書が必要かどうか、書式や提出期限は、会社に確かめてください。会社から診断書を求められた場合は、再診で状態を確認し、医師が療養の継続を必要と判断すれば作成します。費用は再度かかります(当院書式4,900円、会社などの指定書式6,600円、いずれも税込)。

もう一つ見ておきたいのが、会社が認めた休職期間の終了日と上限です。休職できる期間の上限と、期間が満了したときの扱いは、勤務先の就業規則や労働契約でご確認ください。残りの期間がどれくらいあるかは、延長を考える前に人事に聞いておいてください。満了が近い場合にどんな選択肢があるかは会社の制度と状況によって変わるため、早めに人事と相談しながら進めるのが安全です。

指定書式は記載項目が多く、後日のお渡しになる場合もあります。期限ぎりぎりの受診だと会社の提出期限に間に合わないことがあるため、早めに予約を入れてください。

復職が見えてきたときの順番

復職は、本人が「戻れそう」と感じたところから始まり、いくつかの判断を経て決まります。誰が何を決めるかを順に並べます。

  1. 本人が主治医に「そろそろ戻れそうか」を相談する
  2. 主治医が回復の状態を確認し、復職可と判断すれば診断書(意見書)を作成する
  3. 本人が会社に提出する(人事や産業医との面談を挟む会社もあります)
  4. 会社が復職の可否、復職日、働き方の条件を決める
  5. 復職後、体調と業務の状況を見ながら配慮を見直す

主治医の意見書は「医学的に働ける状態か」についての判断で、復職そのものを決めるのは会社です。産業医がいる会社では、産業医が職場の状況と照らして意見を出します。試し出勤や時短勤務などの配慮は、制度の有無も内容も会社によって違います。

復職できるかの目安と準備の仕方は適応障害の復職判断|「そろそろ戻れる?」を見極める4つの目安と正しいタイミングに、厚生労働省の手引きに沿った復職の5つのステップは休職・復職の進め方に書いてあります。リワーク(復職支援プログラム)の種類は復職がうまくいかないとき|再休職とリワークで説明しています。

復職に向けて動き始めた時期に、調子が大きく崩れることがあります。そのときは、次の予約を待たずに受診してください。復職の時期をずらすのは後退ではなく、調整です。

復職したあとに続くこと

復職後も、状態に応じて通院を続けます。復職直後は、会社にいるだけで消耗しやすい時期です。診察の間隔は、睡眠や疲れ方、仕事の負担を見ながら相談し、配慮を見直す材料を集めます。働き方の配慮が合っていないと感じたら、診察で話してください。主治医の意見として書面にできる場合があります(診断書と同じく文書料がかかります。料金は料金案内をご覧ください)。

調子を崩したときは、早めに受診してください。もう一度休むことになったとしても、一度めの休職で分かったことがあるぶん、立て直し方は変わります。再休職とリワークの考え方は復職がうまくいかないとき|再休職とリワークにまとめてあります。

傷病手当金は、同一の傷病について、支給開始日から通算して1年6か月が上限で、復職して支給されなかった期間はこの通算に含まれません。再休職のときの扱いは傷病手当金|制度と仕組みで説明しています。

よくあるご質問

診断書を出したのに、会社から何も連絡がありません。どうすればいいですか。

連絡の速さは会社によって幅があります。案内がなければ、こちらから人事に、休職の扱いと休職中の連絡窓口を確認して差し支えありません。上司にしか渡していない場合は、人事に届いているかどうかを確かめてください。会社の判断が出るまでの休みの扱い(欠勤か有給休暇か)と、その間に必要な連絡も、あわせて聞いておいてください。医師から休養を勧められている場合は、休むことを会社に伝えたうえで、療養は始めていてよい時間です。

診断書に書かれた期間より早くよくなりました。期間の途中でも復職できますか。

診断書の期間は診察時点の見通しで、期間が過ぎるまで戻れないという決まりではありません。ただし復職の可否と時期を決めるのは会社で、復職の前提として主治医の復職可の意見書を求める会社もあります。「よくなった」と感じたら、まず診察でそのことを伝えてください。生活リズムや活動量を確かめ、復職可と判断すれば書類を作成し、会社の手続きに進みます。早く戻りたい気持ちが先に立つ時期でもあるので、戻ったあとの負荷に耐えられるかを一緒に見ます。

期間を過ぎてもよくなりません。休職を延長するにはどうすればいいですか。

会社から延長の診断書を求められた場合は、再診で医師が状態を確認し、療養の継続が必要と判断すれば作成します。延長に診断書が要るかどうか、書式や提出期限は会社によって違います。受診前に必要な書類・書式・提出期限を人事に確認し、指定書式があればお持ちください。作成やお渡しの時期は、診察内容と書式によって異なります。三宮駅前こころのクリニックの診断書の費用は、当院書式4,900円、会社などの指定書式6,600円(いずれも税込)です。あわせて、就業規則の休職期間の上限と残りの期間も人事に聞いておいてください。

休職中に会社から頻繁に連絡が来てつらいです。どうすればいいですか。

連絡の窓口を一人に絞り、頻度と手段を決め直すよう、人事に相談してみてください。上司からの直接の連絡が負担なら、人事経由を希望する方法があります。療養に支障が出ていると感じたら診察でも話してください。連絡の頻度について主治医の意見を書面にすることもできます。産業医を通す方法やご家族に間に入ってもらう形を含め、休職中の連絡の考え方は、当院のコラム「適応障害の休職中の過ごし方|回復の3段階」にまとめてあります。

傷病手当金は、申請してからいつ振り込まれますか。

傷病手当金は、申請対象の期間が終わってから本人・会社・医師の記入をそろえて保険者に提出し、審査で支給が認められた場合に振り込まれます。申請期間の区切り方や振込の見通しは、加入先の健康保険か会社の人事にたずねてください。休み始めてすぐに受け取れるとは限らないため、当面の生活費の見通しは早めに立てておいてください。なお、休み始めの連続3日間(待期)は支給の対象外で、市町村の国民健康保険の方には原則としてこの制度がありません。

受診のご案内(休職中の通院と書類)

三宮駅前こころのクリニック(神戸市中央区・JR三ノ宮駅から徒歩4分の精神科・心療内科)では、休職中の方の継続的な診察と書類の作成に対応しています。傷病手当金支給申請書の医師記入欄は保険適用で、書類作成分の自己負担は3割負担の方で約300円です(診察料は別途かかります)。延長や復職のための診断書は、医師が必要と判断した場合、即日発行も可能です(診察内容や書式によっては後日のお渡しになります)。文書料は当院書式4,900円、会社などの指定書式6,600円です(いずれも税込)。書類全般については診断書についてをご覧ください。

土日祝も診療しているため、復職後に平日の通院が難しくなった方も続けやすい体制です。WEB予約は24時間受け付けています。他院で診断書を受け取ったあとに転院をお考えの方のご相談も受けています。その場合、転院前の期間の証明は前の医療機関に、転院後の期間は当院に、それぞれ依頼する形になります。

次に読む休職・復職の進め方 あわせて読む診断書について あわせて読む傷病手当金|制度と仕組み はじめての方へ初診の方へ|ご予約方法・受診までの流れ(WEB予約24時間受付)

参照・出典元

本記事は一般的な情報提供であり、勤務先での手続きの結果や傷病手当金の支給を保証するものではなく、法律相談・労務相談に代わるものでもありません。休職の可否・期間・休職中の給与や連絡のルールは勤務先の就業規則により、傷病手当金の支給の可否は加入先の健康保険(保険者)が判断します。体調や療養の必要性は診察でご相談ください。

この記事の執筆・監修
近藤 大貴(三宮駅前こころのクリニック 副院長)

近藤 大貴執筆|三宮駅前こころのクリニック 副院長/精神保健指定医

藤田医科大学卒業。名古屋市立大学病院こころの医療センター、豊川市民病院、稲美しんわ病院(副院長)にて精神科診療に従事。適応障害・うつ病など、働く方のメンタルヘルス診療に力を入れている。

副院長プロフィールを見る →
宇治田 直也(三宮駅前こころのクリニック 院長)

宇治田 直也監修|三宮駅前こころのクリニック 院長/精神保健指定医・公認心理師・日本医師会認定産業医

札幌医科大学卒業。神戸大学病院での勤務を経て精神科へ転向し、明石こころのホスピタル、戸田病院(医局長・診療部長)にて診療に従事。

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公開日 2026年10月15日/最終更新 2026年10月15日

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