
「今度こそ大丈夫だと思って戻ったのに、また出勤前に涙が出るようになった」。復職からしばらく経って、そんな状態になる方がいらっしゃいます。もう一度休むことになったら職場に合わせる顔がない、と考えて、つらさを抱えたまま出勤を続けている方もいます。
復職がうまくいかなかったことは、ご自身の努力が足りなかった証拠ではありません。1回目の休職と復職で分かったことを手がかりに、準備の仕方を変えるサインと捉えることができます。
この記事の要点
- 適応障害などで復職したあとに不調がぶり返し、もう一度休職する方がいらっしゃいます。復職がうまくいかなかったことは、ご自身の努力が足りなかったという意味ではありません。
- 出勤前の動悸や涙、眠れない日が続くといったサインがあるときは、崩れきってしまう前に受診して、立て直しの方法を一緒に考える段階です。
- 再休職は振り出しに戻ることではなく、準備の仕方を変えて次の復職を組み立て直すための選択肢の一つです。休職制度の残り期間や通算の定めは、就業規則でご確認ください。
- 傷病手当金は、支給が始まった日から通算して1年6か月ぶんが上限です。残りの支給可能日数があれば再び支給される場合があり、判断は加入先の健康保険(保険者)が行います。
- リワーク(復職支援プログラム)とは、休職中の方が復職に向けて、生活リズムや体力、集中力、ストレスへの対処を段階的に整えていくプログラムの総称です。医療機関で行う医療リワーク、地域障害者職業センターのリワーク支援、会社の制度で行う職場リワークに大きく分けて説明されることがあります。
- 雇用保険の適用事業所にお勤めで休職中の方は、兵庫障害者職業センター(神戸市灘区)のリワーク支援の利用を相談できます。ご本人・事業所・主治医の合意のうえで進み、支援の利用料は無料です。
- 三宮駅前こころのクリニック(当院)では、リワークプログラムは実施していません。主治医として、回復度の評価、リワーク利用のご相談、診断書や紹介状の作成、利用中・復職後の通院を担当します。
三宮駅前こころのクリニック(神戸市中央区旭通・JR三ノ宮駅徒歩4分)は、神戸・三宮で適応障害の休職や復職のご相談をいただける精神科・心療内科です。診察を担当するのは院長・宇治田直也と副院長・近藤大貴(いずれも精神保健指定医)で、土日祝も診療しています。
適応障害という病気そのものの説明(症状・原因・治療)は適応障害のページにまとめてあります。復職できる状態かどうかの見極め方や復職前の準備は適応障害の復職判断の記事に、休職や復職の手続きの流れは休職・復職の進め方のページをご覧ください。この記事では、復職のあとに調子を崩したときの立て直し、つまり再休職の判断と、リワークという準備の手段に絞ってお話しします。
復職のあとに調子を崩すことがあるのはなぜか
家で落ち着いて過ごせることと、職場で働き続けられることの間には、使うエネルギーに大きな差があります。復職の直後は、通勤も業務も人間関係も久しぶりの負荷になり、消耗しやすい時期です。診察室でも、復職後の不調のご相談をうかがうことがあります。
復職後に調子を崩すきっかけは、ひとつとは限りません。診察では、次のような点を確認していきます。
- 原因になったストレスの状況が、復職の時点で十分に変わっていなかった
- ならし勤務の期間が短く、業務量が早く元に戻った
- 遅れを取り戻したいという焦りや、周囲の期待に応えようとする無理が重なった
- 回復が日常生活を送れる段階にとどまり、働く負荷に耐える段階まで届いていなかった
- 復職と同時に、異動など別の環境の変化が重なった
どこで崩れたのかが分かると、次の復職で何を変えればよいかが見えてきます。うまくいかなかった経験は、次の準備に使える情報でもあります。ご自身の努力が足りなかったからだと受け取る必要はありません。
「うまくいっていない」サインと受診の目安
復職後の不調は、気持ちより先に体に出ることがあります。次のようなサインが続いていないか、振り返ってみてください。
- 出勤前に動悸や吐き気がする、涙が出る
- 寝つけない、夜中に目が覚める日が続いている
- 仕事の内容が頭に入らず、以前はできていた作業に時間がかかる
- 休日は横になったまま過ぎていく
- 当日の朝に、休む連絡を入れることが増えた
こうしたサインが続いているときは、崩れきってしまう前に、診察で立て直しの方法を一緒に考える段階です。通院を続けている方は、次の予約を待たずにご相談いただいて構いません。すでに再休職した方も、経過を共有するために早めの受診をおすすめします。
診察では、症状の内容や経過とあわせて、負荷がどこにかかっていたのかを確認します。経過によっては、診断や治療方針を見直すこともあります。見立ての確認については適応障害とうつ病の違いの記事もご覧ください。
消えてしまいたい気持ちがわいてくるなど、切迫したつらさがあるときは、こうした振り返りを待たずに、できるだけ早く受診してください。
再休職という判断と、お金・制度の確認
つらさが続くとき、選べる道は「我慢して続ける」だけではありません。業務量や勤務時間の調整を職場に相談する方法もあれば、もう一度休職して態勢を立て直す方法もあります。職場のなかでできる調整の進め方は適応障害と環境調整の記事で説明しています。
再休職は「振り出しに戻る」ことではありません
もう一度休むことをためらう気持ちには、理由があります。職場への申し訳なさ、収入の心配、また最初からやり直しになるという徒労感。ただ、2回目の休職は1回目と同じではありません。どんな状況で調子を崩すのか、どの段階の復職が早すぎたのか。その情報がすでに手元にあるぶん、休み方と準備の組み立てを具体的に変えられます。休職中の過ごし方は適応障害の休職中の過ごし方の記事にまとめてあります。
休職制度と傷病手当金を確認する
私傷病による休職は、法律ですべての勤務先に義務づけられた制度ではありません。休職できる期間の残り、複数回の休職を通算する定めの有無、休職中の賃金、期間が満了したときの扱いを、勤務先の就業規則や労働契約でご確認ください。無給になる場合や、期間の満了時に退職の扱いになると定められている場合もあります。診断書を提出しても、休職の適用や期間を最終的に決めるのは勤務先です。
傷病手当金は、支給が始まった日から通算して1年6か月ぶんが上限です。傷病手当金が支給されなかった期間は、この通算期間に含まれません。残りの支給可能日数があれば、再び支給される場合があります。ただし支給要件を満たすかどうか、同一・関連する傷病として扱うかどうかは、保険者が個別に判断します。制度の流れは適応障害と傷病手当金の記事と傷病手当金のページでくわしく説明しています。
再休職にあたって勤務先に提出する診断書は、診察のうえで作成します。当院では、医師が療養の必要があると判断した場合、即日発行も可能です(診察内容や書式によっては後日のお渡しになります)。文書料は当院書式4,900円、会社などの指定書式6,600円です(いずれも税込)。診断書について詳しくは適応障害の診断書の記事、料金は料金のご案内をご覧ください。
リワークという準備の手段と3つの種類
リワーク(復職支援プログラム)とは、休職中の方が復職に向けて、生活リズム、体力、集中力、ストレスへの対処を段階的に整えていくプログラムの総称です。決まった時間に決まった場所へ通い、作業やグループでの取り組みを重ねながら、働く生活に近い負荷に少しずつ体を慣らしていきます。1回目の休職では自宅療養だけで復職した方が、2回目の準備としてリワークを選ぶこともあります。
リワークは、実施する主体によって大きく3つに分けて説明されることがあります。
医療機関で行う「医療リワーク」
医療機関がデイケアなどの形で行うリワークです。治療の一環として、病状の回復と安定、再び休職に至ることの予防を目指します。医療リワークのうち、精神科デイケアなどの保険診療として行われる部分には健康保険が適用されます。費用や保険診療の範囲は、実施している医療機関にご確認ください。保険診療の部分は、通院医療として自立支援医療(精神通院医療)の対象になる場合があります。支給認定を受けると、受給者証に記載された指定医療機関で受ける精神疾患に関係する保険診療の自己負担が、原則1割になります。現在の通院先とは別の医療機関でリワークを受ける場合は、自立支援医療の指定医療機関の変更・追加の手続きが必要になることがあります。自立支援医療の申請は自立支援医療のページでご案内しています。
地域障害者職業センターの「リワーク支援」
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が各都道府県に置いている地域障害者職業センターでは、休職中の方への職場復帰支援(リワーク支援)を行っています。職リハリワークとも呼ばれます。雇用保険の適用事業所にお勤めで、休職中で復職を希望しており、病状がある程度安定している方が対象です。ご本人、事業所(勤務先)、主治医の三者が合意したうえで支援が進みます。支援の利用料は無料です。通所の交通費や昼食代などは自己負担になることがあります。雇用保険を前提とした仕組みのため、公務員の方は利用できません。
会社の制度で行う「職場リワーク」
勤務先が自社の制度として行う、試し出勤やならし勤務などです。制度の有無や内容は会社によって異なります。実施する場合の勤務としての扱いや賃金の有無なども含めて、人事や上司、産業医にご確認ください。
このほかに、民間の復職支援サービスもあります。どの形が合うかは、体調、勤務先の制度、通える場所によって変わります。リワークを使わずに、ご自身でできる模擬出勤で準備を整える方法は適応障害の復職判断の記事で紹介しています。迷うときは診察でご相談ください。
神戸でリワークを利用できる窓口
神戸で地域障害者職業センターのリワーク支援を担当しているのは、兵庫障害者職業センターです。神戸市灘区大内通5-2-2、JR摩耶駅から歩いて5分ほどの場所にあります。対象条件を満たせば自動的に利用が決まる制度ではなく、事前の相談や説明を経て、利用の可否や開始時期が個別に調整されます。利用を考えるときは、センターへの問い合わせとあわせて、主治医にもご相談ください。支援はご本人、事業所、主治医の合意のうえで進むため、通院先との連携が前提になります。支援の内容はJEED「リワーク支援について」でも確認できます。
医療リワークは、実施している医療機関が限られます。お住まいや職場から通える範囲に実施機関があるかどうかを含めて、診察でご相談いただけます。
当院にできること
当院では、リワークプログラムそのものは実施していません。そのうえで、主治医として次のような形で復職までを支えています。
- 診察を通じた回復度の評価と、再休職や復職の時期についての相談
- 休職や復職にかかわる診断書の作成
- リワーク利用についての相談(どの種類が今の状況に合いそうか、一緒に整理します)
- 地域障害者職業センターのリワーク支援を利用する際の、主治医としての合意や書類への対応
- 医療リワークを行う医療機関へ紹介する場合の、紹介状(診療情報提供書)の作成
- リワーク利用中や復職後の、並行しての通院と経過の確認(実施機関との役割分担を確認したうえで調整します)
リワークを使うかどうかを決めてから受診する必要はありません。「もう一度休むべきか迷っている」という段階からご相談いただけます。
よくあるご質問
復職に失敗しました。私の頑張りが足りなかったのでしょうか?
復職がうまくいかなかったことは、ご自身の頑張りが足りなかったという意味ではありません。復職後の不調には、原因になった状況が復職の時点で変わっていなかった、ならし勤務の期間が短かった、回復が働く負荷に耐える段階まで届いていなかったなど、準備や環境の側の要因が関わっていることがあります。どこで崩れたのかが分かると、次の復職で何を変えればよいかが見えてきます。診察では、経過を一緒に振り返りながら、立て直しの道筋を整理していきます。
再休職すると、傷病手当金はまた受け取れますか?
傷病手当金は、支給が始まった日から通算して1年6か月ぶんが上限で、傷病手当金が支給されなかった期間はこの通算期間に含まれません。残りの支給可能日数があれば、再び支給される場合があります。ただし支給要件を満たすかどうか、同一・関連する傷病として扱うかどうかは保険者が個別に判断します。原則として同じ病名で改めて1年6か月ぶんが与えられるわけではありませんが、いったん治癒したと認められたのちに再発した場合などは、別の傷病として扱われることがあります。ただし、復職して一定期間働いたことだけで決まるわけではなく、症状の経過や治療の状況などをふまえて保険者が個別に判断します。制度の詳細は適応障害と傷病手当金の記事と傷病手当金のページをご覧ください。
リワークプログラムとは何ですか?費用はかかりますか?
リワークプログラムとは、休職中の方が復職に向けて、生活リズムや体力、集中力、ストレスへの対処を段階的に整えていく復職支援プログラムの総称です。大きく3つに分けて説明されることがあります。医療機関が治療の一環として行う医療リワーク、地域障害者職業センターが行うリワーク支援、会社が自社の制度として行う試し出勤など(職場リワーク)です。医療リワークのうち保険診療として行われる部分には健康保険が適用され、自立支援医療(精神通院医療)の対象になる場合があります。費用や保険診療の範囲は、実施している医療機関にご確認ください。地域障害者職業センターのリワーク支援は、支援の利用料が無料です(通所の交通費などは自己負担になることがあります)。このほかに民間の復職支援サービスもあります。リワークは復職を保証する制度ではなく、復職に向けた準備と判断材料の場の一つです。どれが合うかは体調や勤務先の制度によって変わりますので、診察でご相談ください。
三宮駅前こころのクリニックでリワークは受けられますか?
当院では、リワークプログラムそのものは実施していません。主治医としての診察のなかで、回復度の評価、再休職や復職の時期のご相談、診断書の作成、リワーク利用のご相談に対応しています。地域障害者職業センターのリワーク支援を利用する際の主治医としての合意や書類への対応、医療リワークを行う医療機関へ紹介する場合の紹介状(診療情報提供書)の作成も行っています。リワークの利用中や復職後も、並行して通院を続けていただけます。
神戸でリワーク支援はどこで受けられますか?
地域障害者職業センターのリワーク支援は、神戸では兵庫障害者職業センター(神戸市灘区大内通5-2-2、JR摩耶駅から徒歩5分ほど)が窓口です。雇用保険の適用事業所にお勤めで、休職中で復職を希望しており、病状がある程度安定している方が対象です。ご本人・事業所・主治医の合意のうえで進み、支援の利用料は無料です。通所の交通費などは自己負担になることがあります。医療リワークは実施している医療機関が限られますので、通える範囲に実施機関があるかどうかを含めて、診察でご相談いただけます。
神戸・三宮で、次の復職の組み立てを
三宮駅前こころのクリニックは、JR三ノ宮駅から徒歩4分の精神科・心療内科です(神戸市中央区旭通4丁目1-4 シティタワープラザ3階)。土日祝も診療しており、平日に休みを取りにくい方もご相談いただけます。
このまま続けられるのか、もう一度休むべきか、次はどう準備すればよいのか。ひとりで決めきらずに、診察のなかで整理していくこともできます。再休職の診断書のご相談も、リワーク利用のご相談も承っています。「これくらいで受診していいのだろうか」と迷っている段階のご相談も歓迎しています。
ご予約はWEBから24時間受け付けています。お電話(078-891-8558)でも承ります。提携駐車場はございませんので、お車の場合は近隣の有料駐車場をご利用ください。
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- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)兵庫障害者職業センター「リワーク支援について」
- JEED「兵庫障害者職業センター 障害のある方へのサービス」
- JEED「兵庫障害者職業センター 地図・交通案内」
- JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」
- JEED「地域障害者職業センター(障害のある方へのサービス)」
- 一般社団法人日本うつ病リワーク協会「リワークプログラムとは」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金(給付と手続き)」
- 厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
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