朝の窓辺のマグカップと双葉、ハンカチの水彩イラスト

朝、出かける支度をしているうちに涙が出てくる。駅が近づくと吐き気がして、足が止まる。改札の前で動悸が強くなり、引き返してしまった日もある。仕事に行こうとしたときにだけ体に症状が出ると、気持ちの問題だろうかと自分を責めたくなるかもしれません。

こうした症状は、ストレスに対する体の反応として起こりえます。気合いが足りないわけでも、社会人として未熟なわけでもありません。心身の負担が、言葉になる前に症状として現れている場合があります。

この記事の要点

  • 仕事に行こうとしたときに出る涙や吐き気、動悸、腹痛は、ストレスに対する体の反応として現れることがあり、気合いや性格の問題ではありません。同じ症状は、体の病気や薬の影響でも起こります。
  • 出勤前に症状が強く、会社に着くと落ち着き、休日にはあまり出ないという出方は、ストレスの原因が仕事にあることを示す手がかりになります。
  • 吐き気や腹痛、動悸には、消化器や心臓などの体の病気が隠れていることもあります。まだ検査を受けていない場合は、内科などで身体的な原因を確かめておくことも大切です。
  • 出勤前の症状が2週間以上続いている、症状のために遅刻や欠勤が増えている、眠れない日が続いているときは、精神科・心療内科の受診をご検討ください。2週間は目安のひとつで、期間が短くても支障が強いときは早めのご相談をおすすめします。
  • 症状が強く、通勤のたびに消耗しているときは、いったん仕事から離れることも治療の選択肢になります。当院(三宮駅前こころのクリニック)では、医師が療養の必要があると判断した場合、診断書の即日発行も可能です(診察内容や書式によっては後日のお渡しになります)。
  • 私傷病による休職は、法律ですべての勤務先に義務づけられた制度ではありません。制度の有無や期間は、勤務先の就業規則や労働契約でご確認ください。

三宮駅前こころのクリニック(神戸市中央区旭通・JR三ノ宮駅徒歩4分)は、神戸・三宮で仕事のストレスによる不調のご相談をいただける精神科・心療内科です。診察を担当するのは院長・宇治田直也と副院長・近藤大貴(いずれも精神保健指定医)で、土日祝も診療しています。

適応障害という病気そのものの説明(症状・原因・治療)は適応障害のページにまとめてあります。この記事では、出勤前に体に出る症状に絞ってお話しします。

出勤前に体が反応するのはなぜか

出勤前の涙や吐き気、動悸は、ストレスに対する体の反応として、自律神経の働きを介して現れることがあります。人の体には、負荷や危険を感じたときに、それに対処しようとする仕組みが備わっています。心拍が速くなる、筋肉がこわばる、胃腸の動きが変わるといった変化が自律神経を通じて起こり、意思だけで抑えるのは難しいものです。同じ症状は、体の病気や薬の影響でも起こります(後述の「体の病気が隠れていないかを確かめる」もご覧ください)。

仕事が強いストレスの原因になっていると、出勤という行動そのものが引き金になって、この反応が起こることがあります。家を出る前や駅に着いたとき、会社の建物が見えたときなど、症状が出るタイミングにはその方なりのパターンがあります。

「気のせい」でも「気合い不足」でもありません

涙も吐き気も動悸も、体の中で実際に起きている反応です。目に見える傷や検査の数値に現れにくいだけで、気のせいではありません。気合いで抑え込もうとして通勤を続けるうちに、症状が強くなったり、出る場面が広がったりすることがあります。

会社に着くと治まる・休日には出ない、という出方

出勤前の症状は、会社に着くと薄らぎ、休日にはほとんど出ない、という出方をすることがあります。この場合、症状が軽いように思えるかもしれませんが、そうとは限りません。ストレスの原因に近づく場面でだけ反応が強く出るのは、原因が仕事にあることを示す手がかりでもあります。

こうした不調が続いて、仕事や生活に支障が出ているときは、適応障害と診断されることがあります。ただし、この出方だけで適応障害と判断できるわけではありません。ストレスの原因との時間的な関係や症状の全体像、ほかの精神疾患や体の病気の可能性をあわせて確認します。

涙が止まらないとき

通勤電車の中や朝の洗面所で、自分でも理由が分からないまま涙が出てくることがあります。悲しいという気持ちの自覚がなくても、涙だけが先に出てくることがあるのです。

涙は思いどおりに抑えるのが難しい場合があり、張りつめた状態が続いたあと、ふっと緊張がゆるんだ瞬間に出てくることもあります。

涙が出ることと、弱さや甘えは別の話です

人前で泣くことに強い抵抗を感じて、涙をこらえること自体に力を使い果たしてしまう場合もあります。涙が出ることだけを理由に、弱さや甘えと判断することはできません。立場や経験年数にかかわらず起こりえます。適応障害が甘えではない理由は適応障害は甘えではないという記事で詳しくお話ししています。

いつ、どんな場面で涙が出たかを短くメモしておくと、診察でお話しいただくときの助けになります。書けないほどつらいときは、メモがなくても構いません。

吐き気・腹痛が出るとき

胃腸は、自律神経の影響を受けやすい臓器です。緊張や不安が続くと、胃の動きが乱れて吐き気やむかつきが出たり、腸が過敏になって腹痛や下痢が起きたりします。

朝食が喉を通らない、通勤の途中で腹痛が出て途中下車するといった形で、生活に影響が出ることもあります。

市販薬でしのぎ続けているとき

吐き気止めや胃薬、下痢止めを繰り返し使いながら通勤を続けている場合は、原因の確認や薬の使い方について、医師や薬剤師にご相談ください。薬を使い続けることには、副作用や飲み合わせ、体の病気の見落としという別の問題もあります。症状が続く場合は、ストレス以外の原因も含めた確認が必要です。

動悸・息苦しさが出るとき

動悸は、心臓の拍動をいつもと違うものとして感じる症状です。強く速く打つ感じのほか、脈が飛ぶ、乱れる、震えるように感じる場合もあります。出勤前の緊張で交感神経が優位になると、胸がどきどきする、息が浅くなる、めまいがするといった症状が出ることがあります。

パニック症との関係

突然の激しい動悸や息苦しさに、「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖を伴うことがあります。こうした症状は、パニック発作として現れることがあります。発作が予期せず繰り返され、その後も発作への不安や、発作が出そうな場所を避ける行動が続く場合には、パニック症を含めて評価します。パニック症についてはパニック症のページをご覧ください。

特定の場面に限らず不調が続くとき

出勤前に限らず、めまいや頭痛、倦怠感など全身の不調が続く場合は、睡眠不足や抑うつ・不安、服用中の薬の影響、体の病気などを含めて確認します。自律神経の不調が関わっている場合は、自律神経失調症のページもご覧ください。どれに当てはまるかを、ご自身で判断する必要はありません。

体の病気が隠れていないかを確かめる

吐き気・腹痛・動悸は、ストレス以外の原因でも起こります。胃炎や逆流性食道炎などの消化器の病気、不整脈や甲状腺の病気、貧血などでも、似た症状が出ることがあります。

はじめに、急いで対応が必要な症状を確認してください。動悸に胸の痛みや失神(気が遠くなる感じ)、強い息苦しさを伴うとき、症状がなかなか治まらないときは、救急外来の受診や119番をご検討ください。突然の激しい腹痛や、吐血、黒い便が出たとき、意識がはっきりしないときも同様です。

まだ体の検査を受けていない場合は、まず内科などで身体的な原因を確かめておくことをおすすめします。当院は精神科・心療内科のため、血液検査や心電図などの体の検査は行っておらず、必要な場合は内科等でのご相談をご案内しています。

体の検査で異常がなかったという結果は、今回受けた検査の範囲では明らかな異常が確認されなかった、という情報です。症状が続いたり変わったりする場合は、あらためて内科等にご相談いただきながら、心理的な要因も含めて確認していきます。検査結果の控えやお薬手帳をお持ちいただけると、診察がスムーズです。

受診の目安と、休むという選択

「これくらいで受診していいのか」と迷ったまま通勤を続けている、という段階から、精神科・心療内科にご相談いただけます。目安として、次のような状態があれば受診をご検討ください。

  • 出勤前の涙・吐き気・動悸・腹痛が2週間以上続いている
  • 症状のために遅刻・早退・欠勤が増えている
  • 眠れない日が続いている、食欲が落ちている
  • 仕事のことを考えると気分が沈み、休日も休んだ気がしない
  • 「消えてしまいたい」という考えが頭をよぎる

2週間というのは目安のひとつです。期間が短くても生活や仕事への支障が強いとき、症状が急に悪くなっているときは、早めにご相談ください。

「消えてしまいたい」という考えが強まっているときは、次の受診を待たずに助けを求めてください。今すぐ自分を傷つけてしまいそうなときや、すでに傷つけてしまったとき、薬を大量に飲んでしまったときは、ひとりにならないでください。119番または最寄りの救急医療機関にご連絡ください。可能であれば、ご家族など身近な方にも連絡し、薬や刃物など危険なものから離れてください。

差し迫った危険はないものの、誰かに話を聞いてほしいときは、よりそいホットライン(0120-279-338・24時間・通話料無料)にご相談いただけます。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)もあります(通話料がかかります。受付日時は地域によって異なります)。

眠れない状態が続いているときは、不眠症のページもあわせてご覧ください。仕事以外の場面にも気分の落ち込みや興味の低下が広がり、睡眠や食欲、思考力の低下、自分を責める気持ちなど複数の症状が続く場合は、うつ病を含めて評価します。うつ病についてはうつ病のページをご覧ください。

いったん仕事から離れるという選択

症状が強く、通勤のたびに消耗しているときは、いったん仕事から離れることも治療の選択肢になります。ストレスの原因と距離を取ることで、体の反応が落ち着く余地が生まれるためです。

休職を考えるときは、診断書が勤務先に申し出るための資料になります。ただし、提出すれば休職が決まるというものではなく、手続きや可否、期間は就業規則と勤務先の判断によります。当院では、医師が療養の必要があると判断した場合、即日発行も可能です(診察内容や書式によっては後日のお渡しになります)。文書料は当院書式4,900円、会社などの指定書式6,600円です(いずれも税込)。診断書について詳しくは適応障害の診断書の記事、料金は料金のご案内をご覧ください。

なお、私傷病による休職は、法律ですべての勤務先に義務づけられた制度ではありません。制度の有無や期間、休職中の賃金は、勤務先の就業規則や労働契約でご確認ください。収入面では、勤務先の健康保険などの被保険者が、療養のため仕事に就けず、待期などの要件を満たした場合に申請できる傷病手当金があります。正式な休職制度の有無とは別の仕組みで、支給の可否を判断するのは加入先の健康保険(保険者)です。休職の手続きの流れは休職・復職の進め方のページを、休職中の過ごし方は適応障害の休職中の過ごし方の記事をご覧ください。職場の環境をどう変えるか(業務量の調整、異動、転職を含む)は、適応障害と環境調整の記事にまとめています。詳しくは適応障害と環境調整の記事をご覧ください。

暴力や脅迫など身の危険を感じる状況では、出勤や職場にとどまることを前提にせず、安全な場所に移って、ご家族など身近な方に連絡してください。差し迫った危険があるときは110番、急病やけがのときは119番をご利用ください。

よくあるご質問

仕事のこと以外は元気なのですが、おかしいですか。

仕事のこと以外は元気に過ごせるのは、おかしいことではありません。適応障害などストレスによる不調では、原因に関わる場面でだけ症状が出て、それ以外の場面では普段どおり過ごせることがあります。休日は趣味を楽しめるのに、出勤が近づくと急に調子を崩すという経過をとることもあります。休日に元気でいられることは、仕事のつらさが軽いという意味ではありませんし、仮病や甘えの証拠でもありません。ただし、この出方だけで適応障害と判断できるわけではありません。診察では、症状が出る場面と出ない場面の両方を伺いながら、ほかの病気の可能性も含めて状態を確かめていきます。

涙が出るのは甘えでしょうか。

仕事に行こうとすると涙が出るのは、甘えではありません。強い緊張や悲しさを自覚していなくても涙が出ることがあり、思いどおりに抑えるのが難しい場合があります。涙が出ることだけで、弱さや甘えとは判断できません。涙をこらえて出勤を続けること自体が、大きな消耗になっている場合もあります。適応障害が甘えではない理由は、適応障害は甘えではないという記事で詳しくお話ししています。

出勤前だけ症状が出て、会社に着くと治まります。受診してもいいですか。

はい、出勤前だけ症状が出て会社に着くと治まる状態でも、精神科・心療内科にご相談いただけます。会社に着くと治まるのは、症状が軽いからとは限りません。会社に着いたあとに一時的に軽くなることはありますが、その理由は人によって異なります。この出方だけで病名が決まるわけではなく、診察で症状の全体を確認します。出勤のたびに同じ症状を繰り返しているなら、早めにご相談ください。

内科で検査を受けましたが、異常はないと言われました。

体の検査で異常が見つからない場合、ストレスに対する体の反応として症状が出ている可能性が考えられます。異常がないという結果は、今回受けた検査の範囲では明らかな異常が確認されなかった、という情報です。症状が続いたり変わったりする場合は、あらためて内科等にご相談いただきつつ、心理的な要因も含めて確認していきます。検査結果の控えやお薬手帳をお持ちのうえ、精神科・心療内科でご相談ください。当院でも、内科での検査結果を踏まえて診察を行っています。

診断書は、その日にもらえますか。

当院では、医師が療養の必要があると判断した場合、即日発行も可能です(診察内容や書式によっては後日のお渡しになります)。文書料は当院書式4,900円、会社などの指定書式6,600円です(いずれも税込)。なお、当院では、初診より前の期間について就労ができない状態だった、療養が必要だったと証明する診断書は、原則として発行していません。過去の受診記録など確認できる資料がある場合や、書類の種類(一般の診断書と、傷病手当金支給申請書の療養担当者記入欄は別の書類です)によって扱いは変わるため、診察でご相談ください。休むことを考え始めた段階で、早めの受診をおすすめします。

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三宮駅前こころのクリニックは、JR三ノ宮駅から徒歩4分の精神科・心療内科です(神戸市中央区旭通4丁目1-4 シティタワープラザ3階)。土日祝も診療しており、平日に休みを取りにくい方もご相談いただけます。

出勤前の涙や吐き気、動悸は、我慢の量を増やして解決するものではありません。症状の背景に何があるのか、休む必要があるのかを、診察で一緒に整理できます。受診の目安に届いているか分からない段階のご相談も歓迎しています。

ご予約はWEBから24時間受け付けています。お電話(078-891-8558)でも承ります。提携駐車場はございませんので、お車の場合は近隣の有料駐車場をご利用ください。

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参照・出典元

この記事の執筆・監修
近藤 大貴(三宮駅前こころのクリニック 副院長)

近藤 大貴執筆|三宮駅前こころのクリニック 副院長/精神保健指定医

藤田医科大学卒業。名古屋市立大学病院こころの医療センター、豊川市民病院、稲美しんわ病院(副院長)にて精神科診療に従事。適応障害・うつ病など、働く方のメンタルヘルス診療に力を入れている。

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宇治田 直也(三宮駅前こころのクリニック 院長)

宇治田 直也監修|三宮駅前こころのクリニック 院長/精神保健指定医・公認心理師・日本医師会認定産業医

札幌医科大学卒業。神戸大学病院での勤務を経て精神科へ転向し、明石こころのホスピタル、戸田病院(医局長・診療部長)にて診療に従事。

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公開日 2026年9月2日/最終更新 2026年9月2日

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